薬剤師と栄養療法

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栄養療法というと、医師や看護師、管理栄養士などの専門領域のように思えますが、実は薬剤師にとっても非常に関連のある領域となります。その理由は、薬剤師が医薬品である経腸栄養剤や栄養輸液の調剤を行っており他の職種よりもその組成に詳しいことが挙げられます。また、栄養不良と関連のある褥瘡の治療においても医薬品の軟膏類や医療材料などが用いられ、その治療においても薬剤師の知識が活かされます。このように、多くの医療機関において薬剤師が医師や看護師、管理栄養士などと共にNST(栄養療法サポートチーム)の一員として、日々の業務を行っています。

 

栄養療法により患者さんの予後が変わる

NSTの日本における歴史は浅く、導入が進んだのは1998年前後であると言われています。それまでは、患者さんに対する栄養療法はあまり重視されておらず主治医の独断で決められていました。必要カロリーや炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの配分など、十分に検討されていなかったのです。その後、きちんとした栄養療法を行うことで術後の回復が早まったり、褥瘡や創傷に対する治癒能力が高まったり、免疫力が向上して感染を起こしにくくなるなどのメリットが判明し、以降加速度的に普及が進みます。栄養サポートにより、患者さんの予後が改善されることが認識されるようになったのです。

 

栄養ルートの選択と管理方法

一般的に、栄養を取るといえば「口から食べ物を摂取する」ことが想像されます。しかし、入院患者さんの中には脳卒中の後遺症や神経難病、認知症などのために嚥下機能が低下し、口から食べられない方がたくさんいます。そのような患者さんをそのまま放っておけば、タンパク質やエネルギーが不足し、身体の筋肉が消耗されてしまいます。それを防ぐには、口から以外の栄養ルートを確保する必要があり、大きく分けて2つの方法があります。1つ目に静脈栄養というものがあります。通常の末梢からの点滴でたくさんのカロリーを摂取しようとすると糖の濃度が高すぎて血管痛を生じてしまいます。そこで、心臓に近い鎖骨下静脈と呼ばれる比較的太い静脈(中心静脈栄養)にカテーテルを留置し、そこから糖濃度が10~50%程度と非常に高い輸液(高カロリー輸液)にアミノ酸やビタミン、必須微量元素などを加えたうえで点滴する方法が用いられます。2つ目は経腸栄養と呼ばれるものです。鼻から細い管を胃まで入れる(経鼻胃管)か、胃に穴をあけて直接管を通す(胃ろう)などいくつかの方法があり、いずれも管を通して胃や小腸に対して直接的に経腸栄養剤を注入する方法です。経腸栄養は消化機能を活用できるため、腸管免疫も保たれます。現在は経腸栄養の方が主流となっています。

 

褥瘡治療に関与する

NSTにおいては栄養療法に付随して、摂食嚥下機能の向上と褥瘡予防・治療までを診ていくことが多いです。薬剤師は褥瘡の治療においては、職能を発揮することができます。具体的には褥瘡の病気や創部の湿潤状況に合わせた軟膏剤やドレッシング剤の選択について検討する、実際に看護師と一緒に軟膏の塗布を行うなどの業務を行います。現在はポジショニング方法の進歩もあり、病院内で褥瘡が発生することは少なくなりました。むしろ、褥瘡の発生は医療事故と同じようにあってはならないことという認識となっています。やむを得ず褥瘡が発生してしまった場合は、栄養状態の改善と適切な治療を行うことで早めに治療することが重要です。

 

NSTはどこで学べるか

NSTの認定薬剤師の資格はありませんが、看護師や管理栄養士などと共通の「NST専門療法士」という資格を取得することができます。NST専門療法士は日本静脈経腸栄養学会が認定しており、5年以上の実務経験と学会やセミナーへの参加、認定施設における40時間の研修を受けた後、認定試験に合格すれば認定を受けることができます。

NSTは多くの病院に設置されていますが、患者さんの栄養療法をしっかりとサポートできるような活動ができているNSTは半分くらいに留まります。NST活動で有名な病院もあります。栄養療法を学ぶための転職を考えているのであれば、NSTを強みにしている病院をキャリアコンサルタントに調査してもらいましょう。


PS,最近ある電車雑誌を見て電車運転士を目指していたころを思い出しました。30代で電車運転士に転身する人なんているんかな?w まあもうキャリアチェンジは無理かな^^;



このブログ記事について

このページは、きよこが2015年6月23日 12:03に書いたブログ記事です。

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